物件検索を重ねて、よさそうな物件を見つけたらまずはネットで下調べ。そして仲介業者さんに資料請求をして…

やったぜ内見!買うぞ物件!

そうだよ内見!焦るな危険!
初心者の一棟目購入に向けて、内見はとても大きなイベントといえます。
特に初めての内見は緊張しつつも、なにか大家さんとして大きな一歩を踏み出したような独特の高揚感があるかもしれませんね。
しかしながら、不動産の購入判断において内見は最も重要なプロセスといえます。そして重要なプロセスだからこそ、はやる気持ちを抑え、冷静な頭で物件を見極める必要があります。

買ってから重大な瑕疵に気付くのでは遅いからね
そこでこの記事では、内見時に最低限押さえておきたい13の確認ポイント解説していきたいと思います。
これから初めて内見をされる方も、既に不動産を所有されている方にとっても学びのある内容になっていますので、よかったら一緒に勉強していきましょう!
・内見時にどんな点を確認すべきか知りたい
・ババ物件をつかまないための知識をつけたい
・仲介業者に確認すべきことを知りたい
Contents
1. 仲介業者さんへの確認ポイント
意外に思われるかもしれませんが、内見時に確認するのは物件の状態だけではありません。
実はこの仲介業者へのヒアリングこそがその後の物件購入の成否を分ける、そう言っても過言ではないのです。
仲介業者さんへのヒアリングのポイントは大きく以下の4点です。
・売却理由
・売主の人物像
・競合の有無
・賃貸需要と想定賃料
1-1. 売却理由
その物件に指値(値引き交渉)の余地があるのかどうかを探るために、売却理由のヒアリングは必須です。
例えばその物件が競売を控えた「任意売却物件」である場合は売主が売り急いでいるケースが多く、指値が通りやすくなる可能性があります。

住宅ローンが払えなくて手放さざるを得なくなったケースとか…
また、売主が相続によって所有することになった物件を手放してしまいたいと思っているケースも少なくありません。
その場合、売値は売主が能動的に設定したものではなく、仲介業者の提案によってつけられたもので、売主がそこまで売値にこだわっていないケースも多いのです。
「どうしてもこの値段で売りたい!」というよりも「多少値下げしてでも早く売ってしまいたい!」と考えている売主は意外と多いものです。
そのあたりの事情を探るためにもその物件の売却理由は重要な確認ポイントといえます。
1-2. 売主の人物像
売主の人物像をヒアリングする目的は先の「売却理由」と大きな違いはありません。
売主が資産家で資金繰りにも困っていない場合は値引きの余地は小さいと言っていいでしょう。
逆に上述のように売主が売り急いでいる場合は値引きの余地がありますので、売却理由とあわせて売主の人物像も確認しておくとよいでしょう。

だけど売却理由や人物像なんでそんな簡単に教えてもらえるの?
もっともな疑問ですが、大丈夫です。
例えばうしくんが内見した戸建て物件では売主さんにローン残債があり、その金額以上でなければ抵当権が外せないということが分かりました。
そこで仲介業者さんに残債の額を尋ねたところ、おおよその金額を教えました。このように仲介業者さんがその情報を把握していれば教えてくれるケースは多いものです。

仲介業者さんもできれば売りたいからね。
ただし、仲介業者が情報を持っていないケースもあるので注意が必要です。
仲介業者が「元付」の業者であり、売主と直接やり取りしている場合は売主の情報を沢山もっていると考えてよいものです。
一方、その仲介業者が客付けだけを行っている場合は、売主の情報を持っていないケースもあります。
その違いについては取り寄せた物件資料を見れば分かります。
「取引形態」の欄に「専任媒介」「専属専任媒介」などと書かれていれば元付業者、「媒介」「仲介」などと書かれている場合は客付け業者と捉えるとよいでしょう。
1-3. 競合の有無
安く購入することはとても重要ですが、なんでもかんでも値引き交渉をしていいわけではありません。
もし競合がいて、その競合相手が売値通りで買おうとしている場合は値引き交渉が利きません。
特に戸建ての場合は「実需」つまり「購入して自分で住む層」も競合相手になりえます。
その層は超低金利かつ長期融資の住宅ローンが使えるので、物件が気に入りさえすれば売値通りで買ってしまうのです…!

そもそも投資家でなければ値引きという発想がないかも…
内見時に購入したい物件がある場合は、
・競合相手
・現時点での問い合わせ
・競合相手の本気度
・自分が何番手の内見者か
これらを仲介業者に確認することをおススメします。
1-4. 賃貸需要と想定賃料
これは購入後のことを想定した確認ポイントです。
・買ったはいいけど 一向に問い合わせがない!
・自分が想定してた賃料では入居が決まらない!
こんなことにならないように、「賃貸需要と想定賃料」についてはネットなどで事前に下調べをした上で仲介業者へのヒアリングも行うことをおススメします。
※ネットでの調べ方については以下の記事を参考にして下さい。
購入後、はたして入居付けができるのか、いったい月々いくらぐらいの賃料が得られそうなのか、このあたりを精確に見積もることができれば収支計算も楽になります。
ただし一つ注意点があります。
それは内見時の仲介業者が賃貸事業をやっていない場合は賃貸需要や想定賃料を把握していないケースもある ということです。
「分からないんです」と答えてもらえるならまだマシですが、適当なことを伝えられて鵜呑みにしてしまった場合は目も当てられないので、注意が必要ですね。
2. 建物外での確認ポイント
仲介業者へのヒアリングポイントを確認したところで、次は物件自体の確認ポイントを紹介していきたいと思います。
が、まだ中には入れません 笑
まずは物件の外から目視できる部分、以下の3点についてです。
・基礎
・外壁
・駐車場
一つずつ見ていきましょう。
2-1. 基礎
基礎の部分で確認すべきポイントはコンクリートの「クラック」です。「クラック」とは建物に入ったヒビのことをいいます。

基礎にヒビが入っているというだけでなんとなくヤバそうな印象を受けるかもしれませんが、全てのクラックがNGというわけではありません。
問題はそのクラックの程度ですが、一般的に0.3mm以下の幅であれば、構造上許容範囲とされています。

0.3mmっていうと髪の毛の細さくらいだね
仮に0.3㎜以上の幅があった場合、その部分から水が浸入することで基礎部分にサビや腐食がまわり建物全体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
築古物件に多少のクラックはつきものですが、髪の毛の細さを一つの基準としてクラックの度合いを見極めるとよいでしょう。
2-2. 外壁
外壁においては
・クラック
・コーキング
・チョーキング
この3点を確認しましょう。
クラックについては前述の通りですが、クラックや剝がれがある場合にはそこから雨水が侵入する恐れがあります。
次に、壁面のつなぎ目や窓枠の部分など「コーキング」が施された部分がボロボロになっている場合も同様に浸水の可能性があり、注意が必要です。

3つめはチョーキングですが、チョーキングとは、外壁に触れたときにてのひらにチョークのような白い粉が付着する現象をいいます。

ただし、ある程度築年が経過した物件でのチョーキングはよくあることなので、それほど気にする必要はありません。3つの確認ポイントでは、チョーキングよりもクラックやコーキングの劣化を優先的にチェックするとよいでしょう、
最後に、雨漏りの原因で最も多いのが外壁の劣化といえます。雨漏りを放置していると今度はシロアリがわいてきます。
雨漏りの修繕やシロアリの駆除は高額の費用がかかることがありますが、その予防として外壁を塗り替える場合も70万円~の費用がかかります。
戸建てのリフォーム費用として大きな出費といえますので、外壁がボロボロで雨染みがあるような物件は見送るのが無難かもしれません。
2-3. 駐車場整備の可否
戸建て投資を行う場合、駐車場は必須です。
戸建てのメインターゲットはファミリー層ですので、駐車場の有無はとても重要なポイントといえます。
ベストは夫婦2台分のスペースがあることで、2台分もあれば客付けも優位に進めることができます。
1台分でも問題ないのですが、もし駐車スペースが狭くて入庫が難しい場合は途端に客付けの難易度が上がってしまいます。
その際、駐車場を造成することで客付けが決まることもありますので、募集をかけても決まらない場合は予算との相談で駐車場の拡張工事を検討してもよいでしょう。

門と塀を取っ払うだけで駐車スペースができるという家も少なくないよ!
また、「建物自体は合格なのに駐車場がない!」という場合は、近隣駐車場を借りたり隣の空き地を購入したりという手段で切り抜けることもできます(これも予算との相談ですね!)。
駐車場は必須ですが、工夫次第でクリアできることもありますので、上述の方法などは選択肢の一つとして持っておいて損はないかなと思います。
3. 建物内の確認ポイント(構造編)
建物の外の状態を確認したところで、ここでやっと中に入れます(笑)

待ちわびたよ
まずは「構造編」つまり建物そのものについて、確認すべきポイントは以下の3点です。
・雨漏り
・シロアリ被害
・傾きの有無
これらはもし、問題があった場合に修繕等に高額の費用がかかってしまうものです。
では、一つずつ見ていきましょう。
3-1. 雨漏り
雨漏りも程度によりますが、仮に状態がひどく屋根の葺き替えが必要な場合は100万円前後の費用がかかります。
確認方法は天井のシミをくまなくチェックすることです。小さいシミであれば大雨の時など一時的に発生する雨漏りかもしれませんが、シミが広範囲にわたる場合は雨漏りが常態化している可能性があります。

といえますシミの程度を見て、可能であれば屋根裏なども確認させてもらい、大丈夫そうだと判断できるなら購入を検討してもよいと思います。
逆にちょっと修繕が必要かも…と判断したものの、どの程度の費用がかかるか予測できない場合は購入を見送ったほうが無難といえます。
3-2. シロアリ被害
そもそもなぜシロアリがいるとダメのかという点ですが、シロアリがいた場合、建物の耐久性が著しく落ちている可能性があるためです。
買ったはいいけどすぐにガタがきて大規模修繕が必要!なんてことになりかねないということですね。

そしてシロアリの確認は結構厄介です。なぜなら目視ではなかなかシロアリ被害の有無を見分けるのが難しいからです。

建物の内部だけ食い散らかしてるから表面部分は問題ないように見えることが多いんだ…!
確認する部分は柱と玄関の框(かまち)です。まず柱ですが、柱の床から約20cmくらいまでの部分をボールペンなどでつついてみて下さい。
柱がペキっと割れたり、ボールペンが簡単に刺さったりする場合にはシロアリにやられている可能性が高いです。また、手で叩いた際に乾いた空洞音がする場合もシロアリにやられていると考えてよいでしょう。
特にトイレや浴室のドアの柱はシロアリ被害が多い部分ですので、このあたりを重点的にチェックするとよいと思います。
框(かまち)も同様の方法で確認できます。玄関の上がり框を手で押した時にペキっと割れたりへこんだりする場合はシロアリにやられている可能性が高いです。
実はシロアリ駆除の費用は戸建ての場合、広さにもよりますがおおよそ10万円程度です。

駆除だけならそんなに高くないんだね
もしシロアリ被害が確認された場合は建物の状態を見極めた上で、指値の材料にしていくというのも一つの手です。
指値(値引き交渉)についてはこちらの記事もご参考下さい。

3-3. 傾きの有無
建物が傾いている場合も修繕に高額の費用がかかります。
例えばジャッキアップなど建物自体を持ち上げるような方法だと100万円~200万円程度の出費は想定しておかなければなりません。
傾きがある場合、多額の修繕費用が利回りに大きな影響を及ぼしますので、個人的には購入を見送るべきだという考えでいます。
ではその確認方法ですが、一番簡単なのは家中のドアと窓を開閉するという方法です。
ドアや窓がつっかえて開きにくい場合や、目視で隙間が確認できる場合は傾きがあると判断してよいでしょう。
次に考えられる方法としては水平器やスマホアプリを使うことです。特にスマホの「計測」アプリのは手軽な手段として重宝されます。

これを床に置けば「~°」など、簡単に傾きの具合を確認できます。
とはいえ、築古の物件ではクラックや雨漏りなどと同様に、傾きもつきものです。多少の傾きは許容してもよいと思いますが、ドアや窓が開きにくいほどの傾きがある物件は購入を見送るのが無難でしょう。
4. 建物内の確認ポイント(水回り編)
建物内で確認すべきポイント続いては「水回り編」にいきましょう。
なぜ水回りなのかというと理由は「構造編」と同じで、水回りもリフォームに高額の費用がかかるからです。ポイントは以下の4つです。
・キッチン
・風呂
・トイレ排水設備の確認
順番に見ていきましょう。
4-1. キッチン
現状で使用が可能かどうかを判断します。
築古物件の場合、キッチンは汚れているケースがほとんどですが、大抵はハウスクリーニングで見違えるほどキレイになります。また、表層部分もダイノックシートを貼ることで、見た目の印象がガラッと変わります。
仮に機能的な部分に問題があって入れ替えが必要な場合、システムキッチンなら70万円~ブロックキッチンなら30万円~(どちらも設置料込み)程度かかります。

戸建て投資では非常に痛い出費になるね。
キッチン現状での使用可否を確認した上で、極力入れ替えを避ける方向でリフォーム内容を検討していきましょう。
4-2. 風呂
お風呂もキッチンと同じくハウスクリーニングでキレイになります。
慎重に判断すべきは浴槽の状態ですが、築古物件は劣化している場合がほとんどです。
あまりにも傷みがひどい場合はリフォームが必要となりますが、仮にユニットバスに入れ替えとなると60~70万円はかかります。
一方、お風呂のリフォームで最もおススメなのは「塗装」です。浴槽を入れ替える必要がないので10万円程度で新品同様にキレイになります。
ただし、全ての業者が施工可能なわけではないということは留意しておいたほうがよいでしょう。浴室塗装は市販の塗装剤を使ってDIYで施工するのもおススメです。

「おふろん」などのキットを使えば2~3万円でいけちゃうよ!
また、水栓やシャワーヘッドなどの交換も費用対効果が高くておススメです。これらの部品をホームセンターで買ってDIYで取り付けてもいいと思います。
4-3. トイレの排水設備
トイレそのものの状態も確認が必要ですが、特に確認すべきは排水設備です。
排水設備の種類は物件資料での確認も可能ですが、念のため内見&仲介業者さんへのヒアリングで確認しておくとよいかと思います。というのも、トイレの排水が「汲み取り」の場合客付けに苦戦します。

また、「浄化槽」も選択肢に入りますが、定期的なメンテナンスや場合によっては修理費用がかかってしまう点には留意が必要です。

最も望ましいのが「下水」です。
では、汲み取りを浄化槽を下水に切り替える場合ですが、以下の工事費用がかかります。
汲み取り→浄化槽:(規模にもよりますが)おおよそ80万円~
汲み取り→下水 :40~50万円ほど(前面道路に下水に接続する場合)
仮に下水を引く工事からやらなければならない場合だと最低でも100万円~ほどの費用がかかるため、やはり最初から下水が通っている物件を選ぶことがベストだといえます。
5. まとめ
今回は内見時に確認すべきポイントを解説しました。そして最後に大事なことを一つ。
それは、これらのポイント全てが指値(値引き交渉)の材料になり得るということです。
仮に問題ありと判断した場合でも、ではその問題が許容できるのか、許容範囲内なのであれば、解決のためにどの程度の費用がかかるのかという点を慎重に判断し、指値の材料として検討するとよいでしょう。
また、内見時に問題点を見つけても声高に指摘することはおススメできません。
なぜなら仲介業者さんに「何やらうるさい客だな」という印象を持たれてその後の関係性に悪い影響が出てしまう可能性があるためです。

仲介業者さんも人間だし、毎回文句をつけるようなうるさい客には物件を紹介したくないからね。

沈黙は金だね
今回お示ししたポイントをつぶさに確認し、もし問題があった場合でも決して表情には出さず、心の中でニヤニヤしましょう 笑
そして仲介業者さんには「物件の状態から指値の可能性がある」ということだけ告げて、買い付け証明を出す際に指値の根拠として説明すればいいのです(おすすめはその日のうちに買付証明を出すことですが!)
以上、長い文章になってしまいまいたが、この記事がみなさんの物件購入の後押しになれば幸いです。
モーおしまい!バイバーイ